イチローがレジェンドにかけた1本の電話
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昨年9月。元中日のレジェンド、山本昌氏が引退を決めると、イチローから国際電話がかかってきた。
ねぎらいの言葉などを交わして、野球の話になると、イチローは、こう逆に問いかけてきた。
「昌さん、僕は、50歳までできますかね?」
山本昌氏は迷わずに答えた。
「足だけに気をつけな。理論上、50歳までの体力、技術は維持できる。足の怪我にだけ気をつけて、全力疾走のできる筋力さえ維持できれば50歳までできるよ」
するとイチローは、安心したように、こう続けたという。
「技術は、年々上がっているんです。出場機会さえあればキャリアハイを残せます」
2人には初動負荷トレーニングという独自のトレーニング理論で、多くのトップアスリートを指導してきた小山裕史さんの元で共にトレーニングを続けてきたという共通項がある。
「イチローの凄さは、貪欲な姿勢だと思う。以前は2年くらい一緒にトレーニングをしたことがあって、それを感じた。結局、彼がトレーニング場にくると、人が集まるので、一般の会員に迷惑がかかるから、“隠れて練習をしておきます”と言っていた。今は一人でやっているようだけど、イチローの野球に対するモチベーションは3000本を達成したといえど、この先、ずっと下がることはないだろう」
7日(日本時間8日)、コロラドデンバーで、3000安打の偉業を達成したイチローは、その記者会見で次なる目標を聞かれ、「4000(安打)しかない。200本を5年やればね。僕にとっては、いつの日のことかわからないことより、明日の試合に出たいってことが大事」と、答えた。4000本、5年……。胸のうちに抱く、次なる大目標は50歳現役である。先日、ESPNマガジンのインタビューに答え、改めて「少なくとも50歳までプレーし続けたい」と断言している。
山本昌氏とイチローの会話を聞く限り、この言葉の真剣度が伝わってくる。
50歳現役を体現した山本昌氏が考える「50歳現役続行」の条件は、モチベーション、技術、体力、そして「雇ってくれる球団があるかどうか」の4つだ。
イチローのモチベーション、技術は問題はない。また全米最強の外野手が揃っているマーリンズで第4の外野手としての役割を十分に果たしている現状から考えれば、来季も、複数球団からメジャーオファーを受けることは間違いないだろう。
そうなると、あと8年間もある「50歳現役」を実現するための最大の障害は、山本昌氏が指摘するように脚力をどうキープするかの問題だけなのかもしれない。
「いっちゃん自身が言うように、技術と経験は年々、プラスされていくだけなんだから、50歳までできるかどうかのポイントは体がついていくかどうかだけ。肩は衰えない。これは僕が証明した。動体視力も心配はない。トレーニングで維持できるし僕も大丈夫だった。問題は、全力疾走が何歳までできるか?だと思う。
いつまで30メートル.50メートルのショートダッシュを全力で続けることができるのか。今は、あれだけ走れているが、足の筋力というのは、故障などをきっかけに、一気に落ちちゃうもの。そこをどう維持するのか。
小山先生の理論では、全力疾走を含めて、足を使う機会が、投手に比べて多い野手であっても、50歳までプレーは可能だという。いっちゃんにも直接言ったが、ふくらはぎ、ハムストリングス、膝、足首周りを含めた足のコンディションをキープできるなら、50歳までできると思う。だが、大きな怪我を一度してしまうと、そこが怖くなってしまう。心配はそれだけだね」
- 奇しくも3000本を決めた三塁打は、日米通算で116本目となり、あの世界の盗塁王、福本豊さんの記録を抜くことになったが、その福本さんも「ふくらはぎを痛めたことが引退に引き金になった」と言っていた。
また40歳を超えてプレーした落合博満がふくらはぎを痛めたときに、福本さんは、落合の引退を予言していた。まして、スピードがメジャーで金字塔を打ち立てたメジャーリーガー、イチローから欠かせないピースであるなら、そこに異常が発生することは、現役続行の命取りになるのかもしれない。
山本昌氏は「いっちゃんのもうひとつの凄さは故障欠場や離脱のないことだが、彼だって怪我をしている。表に出さないだけ。人に言えず、その治療やコンディション調整を苦労しながらしている。そういう作業を一切、表に出さずにやっているのが、イチローの凄さだ」と、知られざるイチローの苦闘の姿を明らかにした。
もしかすれば日本人として最初で最後になるかもしれない3000安打の偉業を達成したイチローならば、50歳現役の夢も、次なる目標だと口にした4000本という絶望的な数字も、あと8年もあれば、やってしまうのかもしれない。イチローの3000本はゴールではなく、この先に始まる可能性のスタートなのだ。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信より)